art

プラスチックの壺中天

すでにご存知のかたも、コンプリートしたくて何千円も散財したかたもいらっしゃるだろう、大竹伸朗のガチャガチャ=「ガチャ景」が先月発売され、直島銭湯や各地のアートブックショップに販売機が設置されている。全6種類、各500円。計3000円でコンプリートできればラッキーだが、なかなかそうはいかなかったりして、ずっとむかしのゲームセンターで味わったような「悔しいから取れるまでぶっこむ」感を、ひさびさに思い出させ...

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LATEST ISSUE
最新号 2016年08月24日 Vol.225

photography

Campus Star ―― 制服から透けて見えるなにか

中田柾志の写真と出会ったのは2012年ごろ。最初に見たのは、パリ・ブローニュの森の奥で客を引く娼婦たちを撮影したポートレートだった。木立の陰に潜んだ獣のように生命力に満ちた、ときに高貴にすら見えるその姿に魅了され、本人に会ってみると、ほかにもさまざまなシリーズを手がけていることが分かり、本メルマガでは2013年の1月に、3週連続で紹介させてもらった。その中にはフランクフルトの娼館街「エロスセンター」の、娼婦たちの部屋を撮ったシリーズがあったし、素人女性が応募してくるモデル募集サイトで探した女性たちを撮影した「モデルします」、世界でいちばんセクシーな学生服といわれるタイの女子大生のぴちぴち制服シリーズなど、エロと社会性が絶妙の割合で配合された膨大な作品がたくさんあって、どうしてこれほど興味深い写真が一冊の写真集にも、写真雑誌の特集にすらなっていないのか、僕には理解できなかった。

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book

短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.4 「ハプバー入門/探訪」編――元鞘と肉欲のジャムセッション

「元鞘」(もとさや)という妙なハンドルネームの女の子に出会ったのは、まだ3ヶ月ほど前のことだった。ある食事会で隣に座った彼女は、23歳という若さの巨乳美少女なのに、からだじゅうから隠しきれないセクシーなエネルギーを放っていて、漫画家だというので「どんなの描いてるんですか」と聞いたら、渡された一冊の同人誌が『元ハプニングバー店員による、独断と偏見のハプバー入門』・・・。雑誌のルポかなにかの仕事かと思ったら、「いえいえ、自分がハプバーを好きすぎて、一時は店員として働いてたくらいなので、ハプバーの良さを知ってもらいたくて作ったんです!」という。「それで、これは『入門編』なんですけど、もうすぐ実践的な『探訪編』も出します!」というので、初対面のその場でいきなり取材をお願いしてしまった。これまで本メルマガではさまざまな性にまつわる話題を紹介してきたけれど、ハプニングバーについての記事は今回が初めてかもしれない。

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fashion

捨てられないTシャツ 54

河合克夫/28歳女性(出版社勤務)/山形で3番目の街、新庄市で生まれる。父親はコンサルタントをしていて、単身赴任であちこちの会社を行ったり来たりで、週末だけ実家に帰ってくるような生活だった。母親はいまは専業主婦だが、昔は薬局の調剤師をしていた。父も母もとても真面目なひと。兄弟は兄と妹がいる。小学校のころは、男の子と取っ組み合いをして、怪我をさせては親が謝りに行くような子どもだった。プレステ第一世代だったが、外で遊ぶほうが好きで、川でドジョウを捕まえたり、蛙の卵をたくさんとってきたり。ほんとうはリカちゃん人形とかバービーが欲しかった・・・けど、父が特に厳しくて、嗜好品みたいなものは絶対に買ってもらえなかった。できたばかりのマクドナルドにも、絶対に連れてってもらえなかった。

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photography

女子部屋――川本史織と女の子たち

ずっと昔、こんなふうに中国が開ける前の北京に通っていた時期があった。そのころ北京でいちばん大きな書店に行くと、一冊の本に群がる男たちを仏頂面の店員がにらんでいて、いったいなにを見てるのかと思ったら、それはデッサン用の「人体ポーズ集」だった。なぜそれが?と手に取ってみると、小汚い白黒印刷のページには、ちょっとくたびれた全裸の白人モデルがいろんなポーズを取っていて、ようするに北京の男たちはそれをエロ本(というものは存在しなかったから)に代わる貴重なネタとして凝視していたのだった。2013年1月に川本史織の『堕落部屋』という写真集を紹介したことがある。「デビューしたてのアイドルだったり、アーティストの卵だったり、アルバイトだったりニートだったり・・・さまざまな境遇に暮らす、すごく可愛らしい女の子たちの、あんまり可愛らしくない部屋を50も集めた、キュートともホラーとも言える写真集」と書かせてもらったが、その川本さんの第二弾写真集が『作画資料写真集 女子部屋』というので、もう20年以上も前の北京の思い出が甦ったのだった。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 03 Dinosaur Gardens, Ossineke

『Dinosaur Gardens(ダイナソー・ガーデンズ』=その名のとおり「恐竜庭園」。実はアメリカ各地で恐竜は昔から人気者で、たくさんの恐竜庭園がある。博物館が監修した学術的に信頼できるものから、正確さより楽しさのほうが先に立つインディーズ系まで、もうさまざま。僕としては当然ながら、インディーズ系のほうに興味が惹かれるわけで、東海岸から西海岸までオススメの「恐竜環境」がいろいろあるけれど、こちらオシネクの恐竜庭園も、その渋~いたたずまいでかなりの好感度。しかもこちらの恐竜庭園は、ポール・ドンケというひとりの恐竜好きが、1930年代から60年代までかかって造りあげた、生粋のインディーズ・ダイナソー・パークなのだ。

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AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました。毎回同じこと言ってますが、気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。ほんとうに気になるので。

しかしオリンピックが終わっちゃいました。僕は卓球からバドミントン、体操に水泳と、だいたいの「感涙競技」を九州のビジネスホテルで見ていたのですが、ほんとはメルマガ書くはずがぜんぜん手につかず! 毎晩号泣! 終わってホッとしたというか、虚脱状態というか。そんなひと、僕だけじゃないと思います。 勝って泣いて、負けて泣いて。なかには「泣きすぎでシラケる」なんてコメント吐いた芸能人が謝罪させられたりしてました。たしかに中継だけ見てたら、「なにもあんなに泣かなくてもいいのに」と思っちゃうのかもしれないけど、それはスポーツの奥深さにまったく思いが至らないから。無神経とか、傲慢とか、いろいろ言われますけど、僕がそういうコメントの根底にあるといつも思うのは、「想像力の欠如」。

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BOOKS

圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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