music

新連載! 音楽に呼ばれて(湯浅学)

いまはもう存在しない文藝春秋社の月刊誌『TITLE』で、2000年の創刊号から2007年まで連載した『珍世界紀行 アメリカ裏街道を行く』は、2010年に『ROADSIDE USA』という分厚い単行本にまとめることができたが(TITLEのほうは連載終了後ほどなく休刊・・・自分のせいじゃないと信じたい)、丸7年間にわたってアメリカの隅々、というか隅っこばかりを走り回りながら、ときどき寄り道してはブルースやロックの記念碑的なスポット...

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LATEST ISSUE
最新号 2016年09月21日 Vol.228

art

パリのビート・ジェネレーション

ジャック・ケルアックの『路上』が発表されたのは1957年だから、今年が60周年になる。訳者の青山南さん(※新訳『オン・ザ・ロード』訳者)によれば、ビート・ジェネレーションとは「だまされてふんだくられて精神的肉体的に消耗している世代」と訳されるそうだが、公式にビート・ジェネレーションが生まれたのは1944年、アレン・ギンズバーグとウィリアム・バロウズとジャック・ケルアックがニューヨークのコロンビア大学で知り合ったときとされている。そして2016年のいま、パリのポンピドゥ・センターでは『ビート・ジェネレーション ニューヨーク、サンフランシスコ、パリ』展が開催中だ(10月3日まで)。どうしても行きたかったけれど時間がやりくりできず、かわりに本メルマガに寄稿してくれているパリ在住の飛幡祐規さんに見てきてもらった。

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travel

ジワジワ来る関西奇行 09 高砂市の「ロリータ包丁」と「ゴスロリ包丁」(写真・文 吉村智樹)

Twitterを始めて、およそ6年になる。6年もやっていると、ときどき「バズ」る。「バズ」は怖い。自分でも手に負えないほど、ひとつのツイートが広く拡散し、ネット上にノーコントロールな絨毯爆撃をおっぱじめるのだ。Twitterには「炎上」と「バズ」がある。視覚的には似ているが、このふたつの現象は非なるものだ。「炎上」は怒りやからかいの矢がどんどんこちらへ向かってくる状態。対して「バズ」は、自分のツイートが壊れた散弾銃となって連射がやまず、無数の弾が広く広く、遠く遠くへ撃たれ続ける感覚におちいる。これまで何度かバズったが、今年3月にツイートしたこれは拡散の勢いもすさまじく、とりわけ忘れられないものとなった。それが「ロリータ包丁」と「ゴスロリ包丁」。

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fashion

捨てられないTシャツ 56/アイオワ/33歳男性(編集者)

アイオワ/33歳男性(編集者)/大分県大分市の山のふもと、ど田舎で生まれ育つ。中心部までは車で20分ぐらいとはいえ、公共手段でいうと最寄りのバス停まで徒歩20分、最寄り駅まで徒歩1時間半ぐらい。父親がそこの生まれで、母親は同じ大分でも港町のほう出身。共働きだったので、ほとんど婆ちゃんに育てられた。幼稚園に入るまでは、人間の友達がいなかった。本を読んだり、婆ちゃんのレコード(『釜山港に帰れ』とか。ちなみに『釜山港に帰れ』は完璧に耳コピして、3歳のときに親戚の宴会で熱唱したら神童扱いされた)を聞いたり。あとは裏山で木に登ったり、探検したり。

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art

アウトサイダー・キュレーター日記 20 今井豊一(写真・文:櫛野展正)

勇気を出してインターホンを押すと、ドイツの模型メーカー「メルクリン」による機関車模型が陳列された玄関に、ひとりの小柄な男性が現れた。その人が案内してくれた部屋に入ると、天井からたくさんの模型飛行機が吊り下がっている。「21歳のころから、趣味で飛行機の模型を作っとった。ラジコンは10年くらい前からや。黄色のんは、材料から自分で作って、スイスで自分が乗った飛行機やねん。プロペラのついとるんが、好きやねんな。」そう語るのは、今井豊一(いまい・とよかず)さん。1930年生まれの86歳だ。大阪市中央区船場で4人兄弟の長男として生まれた今井さんは、小学校のころから木を削って船を作るなど、工作の得意な少年だった。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 05 Bible Walk, Morgantown

ジョン・デンヴァー最大のヒット『カントリー・ロード』の歌い出しは、「オーモスト・ヘヴン ウェストヴァージニア」だった。ウェストヴァージニアは州の8割が森林という、アメリカでも有数の自然に恵まれた州だ。愛称だって「マウンテン・ステート」だし。州丸ごとがアパラチア山脈に沿ったかたちになっているので、よく言えば美しく起伏に富んでいて、物流の厳しさから産業が発達しにくかった側面もある。ワシントンDCの西側に位置し、歴史的にはもともとヴァージニア州の一部だったのだが、南北戦争の際に合衆国から離脱を宣言して南軍側に加わったヴァージニアに反対した州西部の郡が、まとまって新しい州を作ったのがウェストヴァージニア。なのでおとなりヴァージニアとは、いまでも微妙に温度差があるような気もする。

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AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました。気に入ってもらえた記事、ひとつでもあるといいのですが! ご意見、ご感想、Facebookページでお待ちしています。

今週、最初に取り上げたパリの「ビート・ジェネレーション」展は、どうしても自分で行きたかったのですが、どうしても時間が取れず断念。どこかに巡回してくれたら、次回こそは万難を排して飛んでいきたい。 「道を知ることと、道を行くことは同じではない」というのはたしか映画『マトリックス』の台詞でしたが、「ビート」がヘッドフォンの名前としか思われなくなってしまったいま、1957年のビートから1977年のヒップホップとパンクへとつながる道を、僕らはまだ歩けているだろうかと考えると、背筋が伸びる思いです。

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BOOKS

圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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