lifestyle

日展という魔界

やっぱりいまだに泰西名画が強いんだな〜、としみじみ思うが、そういうなかでいまだに別格、最強クラス、しかし現代美術ファンにも、欧米古典美術ファンにもほとんど見向きもされない「日本最大の公募美術展」がある——そう、日展だ。去年10月30日に朝日新聞がスクープした、書道部門での入選事前配分という不正行為に端を発した日展スキャンダル報道を、興味深く読んだかたもいるだろう。一般的にはほとんど話題に上ることのな...

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LATEST ISSUE
最新号 2017年03月22日 Vol.253

art

小松家の大移動展

2014年12月17日号で、小松葉月という風変わりなアーティストを紹介した(『生きて痛んで微笑みがえし――小松葉月のパーソナル・アート・ワールド』)。1991年生まれの小松さんは当時、多摩美術大学の学生だったが、あれから大学院に進み、ちょうど院を卒業する時期を迎えている。そんなタイミングで「展覧会を開くので、見に来てください」とお誘いを受けた。どこの画廊か美術館かと思ったら、場所は「自宅」。3月12日から16日までの5日間だけ。それも招待客のみで、何人招いたのか聞いてみたら、「ぜんぶで4人」! 『小松家 大移動展』と題された、その風変わりな展覧会を拝見に、実家でもある湘南の瀟洒なお宅を再訪した。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 27
Laclede's Landing Wax Museum, St. Louis, MO

「セントルイスロウ人形館」とも呼ばれるラクリーズ・ランディングのロウ人形館、建物自体は1885年の歴史的建造物と由緒正しいが、内部はかなりなB級感覚満載。人形はロンドンで作られ、髪の毛はイタリア、ガラスの義眼はドイツからとうたっているが、とにかくあまりにもチープな出来で、かえって懐かしい場末感を醸し出している。ひとりひとりが似てないのはもちろん、たとえばサルバドール・ダリとハワード・ヒューズとか、人形同士の組み合わせもすごい。キリストの最後の晩餐は、メキシコの風景だし、月に降り立ったアームストロング船長は、なんと宇宙服の頭部がなく、しかも靴はスキーブーツ、手袋もスキー用というファンキーなスタイリング。汚れたガラスと安っぽい壁紙で仕切られた部屋に立つ人形たちは、もの悲しさを通り越したシュールな表情が感じられる。

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music

追悼、チャック・ベリー

3月18日午後1時26分、ミズーリ州セントルイスの郊外、セントチャールズでチャック・ベリーが亡くなった。享年90歳の大往生だった。 死去の知らせはすでにニュースでご存じだろうが、本メルマガでは2014年に「音楽に呼ばれて」という連載がスタートした。アメリカ各地のロックにまつわる場所を訪れて撮影した写真に、音楽評論家の湯浅学さんが文章を書いてくれるセットだったが、その連載の第1回目がチャック・ベリーの生家のあった通りを訪れた記事だった。連載のほうは残念ながら、なかなか2回目以降が掲載できずにいるのだが、チャック・ベリーの死去に際して、ここに記事を再掲載させていただく。ロックンロールの創始者に、謹んで哀悼を捧げつつ。

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movie

はぐれAV劇場 17 石垣章監督『奇妙な果実』(文:大須蔵人)

去年、創立30周年を迎えたV&Rプランニングという老舗AVメーカーがある。「タブーから社会を見つめる」という強力なコンセプトのもと、社長である安達かおる監督を中心に過激なドキュメント作品を連発し、メジャーにありながら挑戦的な企画を仕掛けた、まさに正統派異端メーカーといえるだろう。カンパニー松尾、バクシーシ山下といった個性的な作家を輩出したことでも、サブカルチャーとしてのAVを語る上で欠かせない有名メーカーである。V&Rの作品の中には、総集編にも残らず、人々の記憶からも消えてしまっていると思われる作品が存在する。特に社内監督による作品ではなく外注監督の作品にその傾向が強いように思われる。つまり関係者も「忘れちゃった」可能性の高い作品ということだ。今回紹介するのはそんな幻の作品、石垣章監督『奇妙な果実』(1991年、V&R)だ。この作品には、やはりジャンク屋の棚で“たまたま”目に留まって出会った(280円也)のだが、調べてみるとこの作品や監督にについて語るべきことは多い。

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art

アウトサイダー・キュレーター日記 27 中條狭槌(写真・文:櫛野展正)

群馬県西部にある甘楽郡。近くには工場見学などが楽しめる無料のテーマパーク「こんにゃくパーク」があり、少し足を伸ばせば世界文化遺産に登録された富岡製糸場にも近い。そんな小さな田舎町に、ひときわ異彩を放つ不思議な場所がある。「アートランド竹林の風」「ナニコレ珍庭園」「ふれあいセンター銘酒館」「名勝楽賛園」などいくつものサイケデリックな手書き看板が掲げられ、周囲にはたくさんの廃品が並べられたその場所は、見所満載で眺めているだけでも時間を忘れてしまうほどだ。道路を挟んだ向かいの家には、「中條家」と大きな文字で書かれた同様の装飾が施されており、ここが作者の家であることは明らかだ。

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photography

サンフランシスコの裏側で

2015年4月8日号で弓場井宜嗣(ゆばい・よしつぐ)という写真家を紹介した(『テンダーロインをレアで』)。サンフランシスコのアンダーグラウンドの最底辺まで、広島県福山市出身の若者が降りていったことがまず驚きだったし、そのハードエッジな画面にみなぎる「ITバブル」以前のサンフランシスコの空気感が、懐かしくもうれしくもあった。その弓場井宜嗣が2年ぶりに新宿の写真ギャラリー「PLACE M」で、『SAN FRANCISCO #2』と題した個展を開催、同時に写真集もリリースする。

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AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合い、ありがとうございました。

書いてても長かったけど・・・全記事、お読みいただけたでしょうか。どれかひとつでも、気に入ってもらえたらうれしいのですが。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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