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2018年03月28日 Vol.301

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 16『YOSHIWARA』遠山リツコ(建築設計事務所ケイ・アソシエイツ代表)

'90年代初頭、芝浦にあったクラブ“GOLD”の事を語るとき、その隆盛を知る人であれば誰しも「伝説のクラブだった」と言うだろう。「それまでディスコしかなかった日本に初めて登場した伝説のクラブ」と。では“YOSHIWARA”のことは皆覚えてくれているだろうか。その“GOLD”の中に奥深く潜む隠れ家があったことを。

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art

一番先生、降臨!

寒々しい駅前広場で、聞いたこともないアイドルグループが歌ってる。わずかに足を止める観客。冷ややかな通行人の視線を気にすることもなく、両手にサイリウムを握って応援に声を張り上げるヲタの一団。アイドルシーンよりも、そういうアイドルヲタシーンに興味を惹かれるようになって、まもなく見つけたのが「一番先生」だった。一番先生という称号を持つ、この男性が踊る動画を初めて見たのは、たぶん5年くらい前だったろう。アイドルイベントではなく、それは巨大な野外フェスで、向こうのほうでだれか有名アーティストが演奏しているのだが、フィールドを埋めた数千人の観客の真ん中にぽっかり穴が開いて、そこで一番先生が踊りまくり、取り巻く客たちはステージに背を向けて一番先生のほうに熱狂しているのだった。だれ、このひと!

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movie

桃色の罠――日本成人映画再考 02 もうひとつのヌーヴェル・ヴァーグ『狂熱の果て』(文:鈴木義昭)

国立近代美術館フィルムセンターの大ホールが、久しぶりに満員に近い状態となった。特集「発掘された映画たち」の目玉といわれた映画『狂熱の果て』が上映された日のことである。半世紀以上の歳月を経て発掘されたフィルムの初上映ということもあり、上映前に監督の挨拶も行われた。多くの映画や映像を発掘しているフィルムセンターでも、めったにはないことである。「年月をかけてようやく出会った」という山際永三監督の言葉に、集まった観客らの上映作品への期待はピークに達した。監督デビュー作『狂熱の果て』を撮った時、29歳であった山際監督も、今では白髪の目立つ映画界の巨匠といった風情となっていた。実際、劇場映画はこれ一本の作家だが、テレビ作品にドキュメントにとさまざまなジャンルに、多くの仕事を手掛けてきた職人監督だ。同時に、ならではのエッセンスを作品に盛り込んで熱烈なファンもいる名監督だ。

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photography

それぞれの決壊

トークのあとにいろんなひとが話しかけてくれる。初対面のひとも、久しぶりに会うひともいて、目の隅で話しかける順番を待ってるひとをチラ見しながら、適当な時間で切り上げなくてはならないのが残念なときも多い。で、そういうタイミングで「写真撮ってて、見てほしいんですけど」と分厚いポートフォリオをカバンから取り出すひとがいる。ちょっと・・・。でも、きちんと名刺交換してアポを取って後日尋ねてくるひとよりも、そんな不器用な(?)見せ方しかできないひとのほうが、実はおもしろい写真を撮っていたりもする。先日、あるトークのあとにそんなふうにポートフォリオを取り出した青年が砂田耕希さんだった。砂田さんは東京や横浜の路上で出会ったひとたちのポートレートをずっと撮っているそうで、4月の1ヶ月間、このメルマガ読者にもきっと大ファンが多いにちがいない新宿駅地下のBERG(ベルク)で初めての写真展『それぞれの決壊』を開く。

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movie

はぐれAV劇場 24『シーメールEVE 両性具有』(文:大須蔵人)

「シーメール」という言葉をご存知だろうか? ロードサイダーズ・ウィークリー読者には、こういった領域に関心のある(あるいは親しみ深い)方も多いと思うのでもはや愚問かも知れないが、これは女性の身体的特徴を備えた男性を表す言葉だ。一般的には性別適合手術前のニューハーフ、つまり「サオつきオカマ」ということになるだろう。そして今回紹介するのは、日本のAVでこの「シーメール」という存在を知らしめたパイオニアといえる、山本竜二監督によって1989年にリリースされた『シーメールEVE 両性具有』(新東宝)という作品だ。

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photography

ぼろを撮る

昨秋から何度か青森県をめぐって写真を撮っていた。その仕事がようやく形になって、これから1年間の展示が始まる。浅草・浅草寺二天門脇にあるアミューズミュージアムの開館10周年特別展『BORO 美しいぼろ布展 ~都築響一が見たBORO~』と題された写真展。アミューズミュージアムが収集する「ぼろ」の展示にあわせて、僕が撮影した青森を中心とした北の風景、それに青森の人間にまとってもらった「ぼろ」のポートレートで壁や床を埋める展覧会――というと大げさなので、「ぼろ」展示の装飾ぐらいに思ってもらえたらうれしい。

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2018年03月21日 Vol.300

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 15『祖父の行きつけのクラブ』滝口悠生(小説家)

八丈島は伊豆七島の最南端にあって、東京から行くと羽田から飛行機で四十分ほど、船だと竹芝港から毎日定期便があるが、黒潮を越える関係で高速船の運航ができず、こちらは十時間もかかる。「東京から行くと」と書いたけれど、八丈島も東京都なので、島の人の言い方を借りれば、「内地から行くと」となる。距離にして内地から約三五〇km。勘違いする人が結構いるので念のため付記しておくと、小笠原諸島ではない。小笠原は本州から一五〇〇kmくらいで、もっとずっと遠い。

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music

おきあがり赤ちゃんのビザール・サウンドスケープ

アウトサイダー・アートやアウトサイダー文学があるように、アウトサイダー・ミュージックというのもある。日本ではあまり発掘が進んでいないが、アメリカではすでに何枚もCDや研究書も出ている。これぞ日本のアウトサイダー・ミュージック!と呼びたい異端の音楽家に、このあいだ出会った。名前を「おきあがり赤ちゃん」・・・そう、おきあがり赤ちゃんというミュージシャン。でも赤ちゃんではなくて、61歳の男性だ。おきあがり赤ちゃんは、おきあがり赤ちゃんを楽器にして音楽を奏でる。いまではオモチャ屋でもほとんど見なくなってしまったが、昔は天井から吊したメリーとセットのように、赤ちゃんがいる家庭にはかならずあった、ポロンポロンルルリリンとかわいらしい音を立てる起き上がりこぼしのプラスチック人形、あれがおきあがり赤ちゃんだ。

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movie

SF・怪獣映画ポスター展@フィルムセンター

またも閉幕ギリギリの紹介になってしまい申し訳ないが、いま京橋の国立近代美術館フィルムセンターで、『ポスターでみる映画史Part3 SF・怪獣映画の世界』が開催中だ(3月25日まで)。パート3と銘打たれているとおり、2013年11月6日号で紹介した『チェコの映画ポスター展』、2016年の『戦後ドイツの映画ポスター展』に続く本企画。これまでの展覧会が、おなじみの映画が国によってまったく異なるグラフィック・デザインに昇華されているおもしろさが際立っていたのに対して、今回は『ゴジラ』から『2001年宇宙の旅』『スターウォーズ』に連なる、未知の世界を映画というメディアで表現した、作品自体の突飛だったり美しかったりするイマジネーションがそのままグラフィックにあらわれた興味深さ、そしてなにより強烈な記憶、そういう体験が楽しめるコレクションになっている。

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travel

ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行 04 雲南省(写真・文:関上武司)

大家好!(中国語で皆さん、こんにちは!)軟体トラベラーの関上武司です。現在の中国は56の民族で構成されている多民族国家で、今回紹介する雲南省には非常に多くの少数民族が生活し、雲南省にしかいない少数民族も15種類ほどいます。2016年1月1日。広西チワン族自治区の南寧市から寝台列車で移動して元旦早朝、雲南省昆明市に到着。新年最初の食事は昆明駅前の屋台で軽食をほおばり、3泊する宿を探すことにしました。昆明は2回目の訪問で、以前宿泊した昆湖飯店に向かいました。予約なしで宿泊しようとしたところ、フロントのスタッフに「3日間満室で宿泊できません」と無慈悲な一言…。昆湖飯店のすぐ近くに温泉があるのでどうしても宿泊したかったのですが、予約をしなかったこちらに問題があるのでしょう。

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Back in the ROADSIDE USA 70 Nun Doll Museum, Indian River, MI

ミシガン中部の町インディアンリヴァー。州間高速75号線を降りてすぐ、木立に隠れるように『クロス・イン・ザ・ウッズ』と呼ばれる教会がある。高さ55フィート、16mあまりの巨大な十字架(キリスト付き)で有名な教会だが、もうひとつ名物なのが礼拝堂地下に展示されている『ナン・ドール・ミュージアム』。その名のとおり尼さんの人形ばかりを525体も集めた、珍しいコレクションだ。40年ほども前のこと、サリー・ロガルスキーという女性が感謝祭のおりに、家にあった人形に尼僧の服を着せてみたのが、その始まり。サリーは結婚してからも尼さん人形を趣味で作りつづけ、できた人形をクロス・イン・ザ・ウッズに寄付するようになった。

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travel

キャバレー現代の思い出

先週末、新宿RED Photo Galleryで開催中の『おんなのアルバム キャバレーベラミの踊り子たち』展会場でトークイベントを開いたのだが、スタート間際になって突然、ずっと昔『珍日本紀行』で日本の隅っこを巡っていたころ、伝説的なキャバレーを北海道の小樽で取材したことを思い出した。1995年に撮影したその店『キャバレー現代』のフィルムを引っ張り出し、急いでスキャンしてトーク会場に持参。来てくれたお客さんに楽しんでもらった。いまは文庫版になっている『珍日本紀行 東日本編』には小さく載っているが、せっかくなので、スキャンし直した写真をここでご覧いただきたい。キャバレー現代の話を初めて耳にしたのは、1995年に取材する少し前だったと思う。小樽に「おばあさんホステスがいるキャバレー」じゃなくて、「おばあさんホステスしかいないキャバレー」があると聞いて、それは行かねば!とさっそく足を運んでみたところが、運悪く定休日。

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2018年03月14日 Vol.299

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 14『エスカルゴと味噌ラーメン』古澤健(映画監督)

僕の父親はミュージシャンだった。80年代にはレコード会社と契約して、自分のリーダーバンドのアルバムを何枚か出していた。ライブがあるときには子供が起きている時間には見かけなかった。何日も家をあけるときがあったが、それは少し前に「旅だから」という言葉で予告されていた。ライブツアーのことをうちの両親は「旅」と言っていたが、それが一般的な用語なのかはわからない。父のアルバムのひとつには、ツアーでまわった距離をそのままタイトルにした二枚組のライブ盤があり、それくらい「旅」は(その頃の古澤家には)日常だった。父が売れるようになると家にいる時間は減り、だから一番下の妹は父と一緒に過ごしたあまり記憶がない。

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art

フォトノベル――忘れられた物語のために

「フォトノベル」あるいは「フォトロマン」「ロマンフォト」と呼ばれる表現をご存じだろうか。スタイルは漫画なのだが、絵の代わりに人物や風景の写真がコマ割りに配置され、そこに吹き出しで台詞や説明が載っていく、いわば「写真漫画」のこと。日本ではあまり流行しなかったようだが、僕が働いていた最初期の雑誌『POPEYE』では後半のモノクロページで、しばらく「フォトロマン」のページをつくっていた。そしてフォトノベル/フォトロマンはヨーロッパ、とりわけイタリアやフランスでかつて絶大な人気を誇っていて、しかも知識人からは徹底的にバカにされ続けた、20世紀欧州大衆文化の極北ともいえる表現形態だった。南フランス・マルセイユの海岸沿いにある欧州・地中海文明博物館(Musée des Civilisations de l’Europe et de la Méditerranée、通称Mucem)でいま展覧会『Roman-Photo(英語タイトルPhoto-Novel)』が開催中だ(4月23日まで)。フォトノベルをまともに取り上げた、初のミュージアム展覧会であるこの大胆な企画を、今週はたっぷり紹介させていただきたい。

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スズキエイミの一途なコラージュ(取材・文 臼井悠)

本メルマガで昨年10月に紹介した「横浜衛生博覧会」という、中華街の片隅で行われた小さな展覧会を覚えているだろうか。この企画では、コレクター「影ノ森」氏による、本邦初公開となる衛生展覧会関連資料の公開を中心に、4人のアーティストが衛生展覧会の思想と審美感覚を受け継ぐ作品群を展示した。その4人の作家の中に、うわ~このひとちょっとヤバくない?と引き込まれた女性がいた。それが今回取材させていただいた、スズキエイミさんだ。「真っ白なネズミの剥製の中に、七宝で作った臓器を配置して、ヨーロッパのアンティーク木材で作った枠に飾る」って聞いて、いったいどんな作品を想像しますか? それはゴシックとか耽美とか一言では表現したくないような、「なんでこんなの作っちゃったの?」という不思議な違和感をわたしに残した。いったいエイミさんとはどんなひとなのだろう。改めて取材のお願いをしたとある日、品川駅のオー・バカナルに、「今日は娼婦のイメージで来ました」とハイヒールに真っ赤な口紅で彼女は現れた。

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Back in the ROADSIDE USA 69 Call of the Wild, Gaylord, MI

ミシガン州北部の小さな町、ゲイロード。人口4000人足らずだが、ゴルフやスキーのリゾートとして知られ、街なかの建物はチロル風に統一されていたりする。ゲイロード郊外に1965年から続く観光教育施設(?)が『コール・オブ・ザ・ワイルド』。アメリカ文学史に残る名作、ジャック・ロンドンによる『荒野の呼び声』をそのまま館名に使った剥製動物ミュージアムだ。カール&ハティ・ジョンソン夫妻によってつくられた『コール・オブ・ザ・ワイルド』は、北アメリカに生息する動物たちを剥製にして、リアリスティックな背景の中に配置。まるで額縁ショーを見るように、ジオラマよろしく熊やら狐やら、その他もろもろの動物たちが、ここには150体以上も揃っている。

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帰ってきたファンシー絵みやげ(写真・文:イチゴドロボウ)

ファンシー絵みやげ研究家の山下メロさんが、初のガイドブック『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』を刊行した。前回の記事を読んだ出版社の編集担当がメロさんにアプローチ、単行本にまとまることになったという。バブル期の夢物語から取りこぼされた数々のファンシーな存在が、ひとつの結晶となって完成したのである。前回の記事を読んだでいない人にはそもそも「ファンシー絵みやげ」自体がよく分からないと思うので、今一度おさらいしたいと思う。「ファンシー絵みやげ」とは、80年代~90年代前半までのバブル景気を含む時期において、空前の賑わいをみせた観光地で大量に販売された、POPな絵柄と色使いのイラストを施したみやげもののこと。呼び名は今までなかったのだが、メロさんが呼称を考案した。

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2018年03月07日 Vol.298

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 13 『酔うと現れる店』林雄司(デイリーポータルZ編集長)

銀座に酔ったときにだけたどり着ける焼鳥屋がある。たいてい2軒ぐらいはしごして、午前2時すぎに次の店を探していると現れるのだ。いちど昼に酔ってない状態で探してみたが見つけられなかっただけど、酔っているときは暗い路地に輝くその店が簡単に見つかる。晴海通りよりも西、中央通りよりも北のブロックのどこかだと思っているのだけど、確かではない。店の入口は1階にある。狭くて奥に長い店で、入ると左側に通路、右側にテーブルが通路沿いに二つか三つ並んでいる。奥には厨房とレジがある。その店の名物はフォアグラ。焼鳥のように串にささっている。こってりした味とふわふわの食感。1本でじゅうぶんな濃厚さである。ほかの焼鳥も特に変わったところはないのだが、オーソドックスにきちんと美味しかった。塩でお召し上がりくださいとか、バジルが上に乗っかったりはしてない。ぷりぷりと弾力あって、鶏肉の味がする。

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プノンペン・街角オペラ座の怪人たち

このメールマガジンを始めてしばらく、購読者数がなかなか増えなくて苦しんでいたころ、こころの支えになってくれた電子出版雑誌がある。クーロン黒沢さんの『SIX SAMANA』(シックス・サマナ)だ。アジアのアンダーグラウンドなエネルギーに魅せられたひとにとって、クーロン黒沢という名前は長く、ひとつの指標になってきた。1990年代からコピーゲームソフトなど「裏電脳系」の著作をスタートに、東南アジアにうごめく奇々怪々な人間模様を描いてきた黒沢さん。出版社の自主規制リミッターの向こう側にあるリアリティを表現するプラットフォームとして2013年にスタートさせたのが、Amazon・Kindleストアから配信される『SIX SAMANA』である。第1号の特集が『海外移住促進月間』、そして『電子出版で海外豪遊生活』『日本に殺されるな!』『お布施で暮らそう』『アジアのブラック企業列伝』・・・と続く特集タイトルを並べるだけで、その特異なキャラクターがおわかりいただけるかと思う。ちなみに現在発売中の第31号の特集は『貧乏への道 全ての道は貧困に通ず』・・・いきなり読んでみたくなりませんか!

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ディープ・コリアふたたび 15 江陵~安木(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

安らかな眠りから目覚めるということは、大韓民国を旅行していて、一度もない。安らかな気分になりたいと思って大韓に来たことも一度もないのだから、当然だと思う。朝目が覚めた瞬間、ここはどこだろう、とまず思う生活を続けてきた。反射的にそう思ってしまうのは大韓旅行の日々が多かったからかもしれない、とふと考えた朝だった。ポンチャック・テレビを見るでもなく、ぼんやりニュース番組をながめて顔を洗って歯を磨いてすぐに、ヤリテババアストリートどん突きのモーテルを出る。出てすぐとなりの日向に三毛猫がいた。耳が大きい。顔の左半分が黒い。美猫だ。つながれている。大きな道路が近いからだろうか。猫を繋いで犬を放し飼いというのが大韓の旧スタイルだが、猫は機嫌よくごろんごろんカラダをロールさせている。

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art

アウトサイダー・キュレーター日記 37 伊藤 保(写真・文:櫛野展正)

高架上を走ることから「ソラ鉄」の愛称で親しまれている「日暮里・舎人ライナー」。同じ無人運転の鉄道「ゆりかもめ」とは違って、下町の気取らない長閑な街並みを駆け抜けていく様は、自然と心が安らいでしまう。その停車駅のひとつ、赤土小学校前駅から商店街を歩いていると、一際異彩を放つ店舗が見えてくる。ティラノザウルスやトリケラトプスといった子どもたちに人気の恐竜がリアルなイラストで外壁一杯に描かれ、入り口には金網でつくられた恐竜のハリボテまである。よく見ると室外機まで彩色されており、制作者の並々ならぬこだわりが伺えて、何とも面白い。ここが今回の目的地「お好み焼き110(いとう)」だ。店内は、靴を脱いでゆったりくつろぐことの出来る座敷スペースが広がっているが、四方の壁に描かれた恐竜のイラストや壁に展示された恐竜の張り子とお好み焼き店とのアンバランスさに思わず笑みがこぼれてしまう。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 68 Spam Museum, Austin, MN

アイオワとの州境に近いミネソタ州オースティンの町に本拠を構えるのが、世界有数の食品会社ホーメル。あのスパム(Spam)を作ってる会社だ。沖縄料理好きにはおなじみのスパム。ハワイで「スパム・スシ」に出会ってびっくりした人もいるだろう。ホーメル社が設立されたのは1892年だが、スパムが世の中に登場したのは1937年のこと。スパムとは「spiced ham」の略。スパイシーなハムというわけではないが。2002年には通算60億缶目が出荷された(!)という、たぶん世界でいちばんポピュラーな缶詰である。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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