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AFTER HOURS
編集後記

2014年02月26日 Vol.104

今週も最後までお付き合いありがとうございました。気に入ったくれた記事、あったでしょうか。

岡本太郎現代芸術賞展と、ぴんから体操の展覧会はわざと並べたわけではなくて、偶然時期が一緒だっただけですが、こうして見てみると、ひとつは立派な美術館に飾られる「作品」として鑑賞され、もうひとつはエロ雑誌の巻末の投稿イラストとして見向きもされないという、しかしアートワークとして見れば同じように高い沸点と、凝縮されたエネルギーを持つ、優れた成果であるように思えます。どちらがいい、どちらが優れているかという問いは、すでに無意味であって、美術館もエロ雑誌も(!)、僕らが同じように楽しめればいいだけですよね、考えてみたら。

しかしこうして気合というか、情念というか、妄想力の込められた作品を眺めていると、「ロウファイの力」というものを感じずにいられません。対極にあるハイファイとか、ハイエンドとか、ハイライフとか、それはどんなジャンルでもいいのですが、物事や人物が洗練を極めていくと、粗野で混じりけのない力に打ち負かされるときがかならず来る、という気がします。

素晴らしく美しく構築された音楽が、歪みきった安物アンプから吐き出されるギターの爆音に負けてしまう瞬間。大型カメラで遠くから完璧に撮られた写真が、ブレた携帯で対象に肉薄したスナップの迫力に負けてしまう瞬間。そういう価値の転倒が繰り返されて、美しさというものがいつも表情を変えつづけるものだからこそ、僕らはいつまでも、なにかに夢中になっていられるのかもしれません。

このあいだ第17回目という文化庁メディア芸術祭のエンターテイメント部門で、手づくりアニメの『燃える仏像人間』が優秀賞を受賞したニュースは、ご存じの方も多いと思います。


『燃える仏像人間』予告編

僕も大好きなこのアニメは、ほとんどあらゆるアニメ業界が必死になって取り組んできた、できるかぎり現実(実写)に近づこうという努力の正反対を行く、暴力的なまでにプリミティブな作品です。来月その監督である「宇治茶」さんとインタビューすることができることになったので、近々メルマガで記事をつくれると思いますが、『燃える仏像人間』を初めて観たときと同じような感覚に襲われたのが、先日教えられた音楽ユニット「パンプルムース」のPVです。

パンプルムースはジャック・コンテとナタリー・ドーンという、サンフランシスコで活動する男女二人組のミュージシャン。そして2月18日にyoutubeにアップされたばかりの最新作『 Pharrell Mashup (Happy Get Lucky) 』は、タイトルどおりファレルの『ハッピー』と、ダフト・パンクの『ゲット・ラッキー』のマッシュアップ。しかもその映像は、プロジェクトマッピングで作られています。


Pharrell Mashup (Happy Get Lucky) ワンテイク、編集なし。かっこよすぎて悔しい!

プロジェクトマッピングというと、とにかく大規模で複雑で、予算もたっぷり。現在のハイエンド・イベントデザインの最新トレンドという位置づけでしょうが、パンプルムースのプロジェクトマッピングは、これも破壊的にプリミティブ。メンバーのたったふたりが、手作りのセットで、手持ちの小さなビデオカメラとプロジェクターと、ノートパソコン1台で作り上げた2分53秒の、目も眩むほどチープで、かわいらしく、おしゃれな映像です。そしてどんな専門家による緻密な映像よりも、ハッピーでラッキーな気分に僕らを誘ってくれる作品です。すでにFacebookなどでも話題になっているので、これを見て歯ぎしりした映像作家も多いのではないでしょうか。


こちらは去年11月に発表された、パンプルムースのプロジェクトマッピング第1弾『Royals 2Pac Beck Mashup』。とんでもなくシンプルな制作の現場がよくわかります!

けっきょく最高のアイデアと最強の情熱に、カネの力は勝てない(こともある)という事実をパンプルムースも、『燃える仏像人間』も教えてくれて、それが僕らを果てしなく勇気づけてくれます。ナショナルジオグラフィックみたいな完成度のウェブマガジンは目指しようがないけれど、パンプルムースみたいなメルマガだったら手が届くかもしれない・・・とかね。

http://www.pomplamoose.com/

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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