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AFTER HOURS
編集後記

2017年07月05日 Vol.266

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました! 気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。

しかし先週は忙しかった! 6月24日土曜の神戸から始まって、月曜が大阪スタンダードブックストア、火曜が京都恵文社、水曜が大阪ロフトプラスワンウエストでトーク。木曜の午後に東京に帰ってきて、金曜朝からは札幌。日曜夕方に帰京して、そのまま西麻布新世界で櫛野展正くんとトークイベント・・・そうして月曜の深夜、やっと後記まで辿りつきました! ふ~~。

告知に入れようと思ったけれど、ここで紹介することにした新刊本がこちら、『スナック研究序説 日本の夜の公共圏』、編著は谷口功一とスナック研究会。オビに「スナックについての本邦初の学術的研究」とあるとおり、これまで玉袋筋太郎さんと僕ぐらいしか本を書いてなかったスナック・ワールドに、ついにアカデミズムから挑戦状が!!! なんて言うと大げさですが、首都大学東京の教授である、法哲学が専門の谷口功一さんをはじめ、東大や慶應、駒澤などからなる10名の研究者によって結成された「スナック研究会」が、自身の専門領域からスナックという「夜の公共圏」を徹底的に掘り下げた、素晴らしい労作。ちなみに僕も対談で呼んでもらえたのと、表紙の写真を提供しています。


「公共圏」とはユルゲン・ハーバーマスやミシェル・フーコーなどが提唱する哲学概念ですが、第1章から8章までの各章で研究会の面々は、法制度、行政、思想史など、さまざまな立場からのスナック論を展開していて、しかもけっして難解な専門書になっていないところがありがたい。ちなみに研究会は「毎回、編者が馴染みのスナックで開催されたが、営業時間よりも少し前から店を開けてもらい、二時間ほど貸し切り状態で報告と質疑応答を行う中、しばしばカウンターの中のママに、これはどういうことなのか、あれはどうなのかと質問したりしながら進んで行った」(序文より)とのこと。

大学の先生たちのスナック論と聞くと、めんどうくさそう・・と思われる方もいらっしゃるでしょうが、たとえば――

スナックの地理的分布を見ると、都道府県ごとの総軒数では東京、北海道、福岡、大阪・・と続くが、「人口あたりの軒数」では様相一変、上から順に宮崎、青森、沖縄・・・となる。ちなみにその最下位は奈良県!

また市区町村ごとの人口あたりの軒数では、京都市東山区や名古屋市中区に混じって、5位に高知県奈半利町、8位に沖縄県北大東村が入っている!

とか、興味深すぎる調査結果が満載。ちなみに僕がずっと信じていた、「日本でいちばん多いスナックの店名は『来夢来人』」というのは、実は「1位が『さくら』、2位が『あい』、3位が『はな』」だそう・・・衝撃!

実はこの本の対談のお話をいただいたとき、最初はちょっと迷ったのですが、こうしてできあがってみると・・・やっぱり学者が本気出すとすごい!笑 本書の出版社は白水社なのですが、白水社と言えばフランスを中心としたヨーロッパ文化紹介で知られる、ばりばりインテレクチュアルな版元。白水社からフランス文化系の本を出している友人は、「白水社からスナック本の話が来てる」と言ったら、ぜったい勘違いだからと断言してました・・。

ちなみに「おかえり」の看板が印象的な表紙の写真は、青森県黒石市のスナック街を数年前に撮影したもの。あ~、書いてるうちにどっか、知らない街のスナック街をまた歩きたくなってきた!

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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