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AFTER HOURS
編集後記

2018年06月06日 Vol.310

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました! 先週のお知らせで書いたように、今週はニューヨークが生んだ孤高のラッパー/グラフィティ・アーティスト/アウトサイダー・フィロソファーのラメルジー回顧展を大特集しました。この展覧会、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー誌でも長いレビューが出たりして、アメリカのメディアではかなり注目されているのですが、これだけ詳しい「誌上展」はここだけかと。読んでウズウズしたら、なんとか弾丸ツアーで現場に飛んでいただけますよう! まあ、いまのニューヨークに、ラメルジーが活躍した1970~80年代のヒリヒリする空気感を味わえる場所は、どこにもないだろうけれど。

記事のために久しぶりに地下鉄グラフィティを集めた写真集を読み返したり、画像や音源を漁ったりしたのは、すごく楽しい時間でした。いまではあの『BEAT BOP』もリリックがまるごとネットに上がってて、ほんとはそれも載せたかったけれど、なにしろ長すぎた・・・。

で、いろんなことを思ったり、思い出したりしていたのですが、ラメルジーの展覧会場に2日間通って作品群に浸っているうちに、それまでなんとなくモヤモヤしていたのが、少しクリアーになった気がしました。

その誕生からすでに半世紀近くが経っていると思うけど、いまだにグラフィティはどの国でも基本的に「犯罪行為」であるままです。東京でもこないだ地下鉄の日比谷線だっけ?にグラフィティが書かれたのがニュースになっていて、僕はなかなかよくできてるな~と思ったけど、ワイドショーの扱いは単なる「落書き」でしたよね。電車やバスの車体をまるごとくるむ、スナック菓子だのアイドルグループだの風俗求人だのの巨大広告には、だれも文句をつけないのに。ほんとに醜いのは、どっちだろうか?

そのいっぽうで、寂れ荒廃した都市景観を改善するための「ストリート・アート」は、全世界的に盛んになるばかりです。こちらのほうは建物の所有者や行政の公認というか、お墨付きなので基本的にリスク・ゼロ。建物だけじゃなくて、鉄道の高架下とか、コンクリートの堤防とか、小学校の塀とか・・・日本でもそこら中にありますよね。

知らない街を歩いていて、突然巨大でカラフルな壁面絵画に出会うのは楽しい驚きだし、好きか嫌いかと言われればもちろん好きだけど、昔からストリート・アートというものにいまひとつ、熱中できなかった気持ちがありました。なぜだろう?

ストリート・アートはディエゴ・リベラの壁画の時代から、まずメッセージであり、そして景観改善という意味ではフェイスリフト=美容整形でもあります。でもグラフィティはちがう。メッセージではなくて「武器」なんだと、だからこそいまだに犯罪とされて、だからこそいまだに威力を持ち続けているんだと、ラメルジーはあらためて教えてくれたような気がして、からだが熱くなりました。

昔からグラフィティの展覧会は世界のいろんな美術館で開かれていて、中にはとてつもなく高価な作品もあったりするわけですが、ではオープニングに招かれたグラフィティ・アーティストが、スプレー缶を持って美術館のロビーや外壁や、近所の道ばたに自由にグラフィティを書いていいかというと、それはダメ。日本の美術館だったら、入口の階段でスケートボードやっただけで警備員に怒鳴られるでしょう。

そういう、つねにリスキーで、つねに境界線上にある表現というのが、僕にはすごく大切に思えるのです。

来週はまたちがう顔のニューヨークを紹介します。お楽しみに!

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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