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AFTER HOURS
編集後記

2017年04月19日 Vol.256

今週も長々とお付き合いいただき、ありがとうございました! 先週とはまたちがう意味でのエクストリームな記事だったかと思いますが、気に入っていただけたでしょうか。

メルマガの記事をひとつずつ書いていくと、編集後記に辿り着くのはたいてい月曜の夜中。今回もただいま午前3時ですが、きょうぎりぎりで入ってきたお知らせをひとつ。

去年5月11日号でイチゴドロボウさんによる『手帳類収集プロジェクト――名もなき誰かの記録を読み解く』を掲載しました。手帳やノート、紙に書いたメモ、手紙などを「手帳類」として収集・分析・読み解きを研究している志良堂正史さんによるコレクション展示にあわせての紹介でしたが、その志良堂さんの「手帳類」がなんとこのほど、常設展示の「図書室」としてオープンするそう!


前回の展覧会場でもあった参宮橋ピカレスクに設置される手帳類図書室は、まずカウンターで受付をすませ、目録から読みたい手帳を選び、貸し出してもらって自由に読むという「国会図書館の手続きに近い」(笑)システム。前は立ち読みだったのが、ちゃんと机と椅子も用意されて、じっくり記述を読み解くことが可能。ちなみに料金は1時間500円とのこと。

1年前の記事では約450冊だった志良堂さんのコレクションは、いまや750冊にまで増殖したというから、これだけの「現在進行形の個人記録」収集は、もしかしたら世界的にも珍しいコレクションであるのかも。

前回の記事で志良堂さんは「SNSでもシェアとかあるけれど、プライバシーの間隔に関しては他人との接点がはっきりしている。手帳は、人に読ませることを前提にしていない(他人との接点がない)だけに、素の人物が現れるようで、その人と一緒にいるような気持ちになれる。ブログと違うところはネットメディアには持ち得ない、物質の持つ強さがあること」と語っていて、まさしくそのとおりだと思います。


お気に入りの手帳と志良堂さん

いわばプライバシーの最後の聖域とも言える手帳は、他人に読まれることを前提としていないだけに、「読者向けの説明」もそこには存在しない。持主がいったいどんな人間で、どんな日々を送ってきたのか、ほとんどわからないままに、記されたメモだけを頼りに読み解いていく作業はいつのまにか、高度に実験的な文学体験のようなスリルを味あわせてくれもするでしょう。

記録の保管庫であると同時に、記憶の保管庫でもある「手帳類図書室」は、もしかしたら予想をはるかに超えるリアルな「現代史文庫」に育っていくのかもしれません。

手帳類図書室 解釈と見い出しの部屋
4月30日(日)12:00~19:00
リニューアルオープン記念・使用済み手帳公開買取&交流会
@参宮橋Picaresque
http://jimi.jp/collection/library.html

Facebookページ:https://www.facebook.com/events/125536781323659/

来週は『アリス・イン・フューチャーランド』の2回目、そして強力な新連載もスタート予定です。お楽しみにお待ちください!

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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