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AFTER HOURS
編集後記

2019年05月01日 Vol.354

今週も最後までお付き合いありがとうございました。いつものとおり、硬軟さまざまな記事が揃いましたが、どれか気に入ってもらえたでしょうか。

改元、そして十連休・・・・・・ロードサイダーズのみなさまで、10日間たっぷり休めてるというひと、どれくらいいるんでしょう。ちなみに僕は、ぜんぜん普通に毎日仕事です!涙 きのう乗ったタクシーの運転手さんと愚痴言い合ってたんですが、まるごと休みというひとなんてめったにいないだろうし、アルバイトのひとや、非正規雇用のひと、しかも兼業禁止のひと、ずいぶん困ってるひとがたくさんいるはず。どっかに遊びに行くということは、遊びに行った先のひとたちが働いてるってことだしね。


先週号で特集した「ボーン・ミュージック展」が原宿バツ・アート・ギャラリーでスタートしています。先週土曜日にはDOMMUNEで5時間ぶっつづけの特別番組も、無事に配信できました。見ていただけたでしょうか。スタジオで生演奏、それを直にカッティングして、ポータブル・プレーヤーで聴くという、なんとも贅沢な実験! 雑音にまみれたその音は、ずっと昔に小さなラジオで聴いたAMや短波の深夜放送のような、どこか遠い国からやってきた音のような、不思議に感動的なリスニング体験をもたらしてくれました。


僕がロックを聴き始めたころ、こころの拠り所だったのは米軍放送で、いまはAFN(アメリカン・フォーセズ・ネットワーク)という名称ですが、1997年まではFEN(ファーイースト・ネットワーク)と呼ばれていました。

それはアメリカという音楽の中心から、はるばる太平洋を越えて、文字どおりの極東まで飛んできてくれた贈り物のようで、「ああ、僕らは世界の東の端っこにいるんだなあ」という妙な自覚を持つことにもなりました。1960年代末から70年代にかけてのことでしたから、東京の片隅で布団にくるまって粗末なイヤフォンで聴いてた僕らと、ベトナムの前線で泥にまみれていた若い兵士たちが、同じ番組、同じ曲に聴き入っていた、そういう時代でした。


冷戦下のソビエトという、文化的に厳しい抑圧にあったなかで生まれた、レントゲンフィルムに音を刻んで海賊盤をつくるという、奇跡のような音楽への情熱のカタマリ。それが原宿という、日本でいちばん消費文化に踊る場所のひとつで展示されていること。しかも開催主体が電気グルーヴの音源をさっさと止めたソニー・ミュージックであること。

幾重にもかさなる矛盾とアイロニーを含んで会場に並べられた、骨の画像に刻み込まれたジャズやロック・ミュージック。反抗と情熱が生み出した、その美しさに打たれます。


会場の一角には、当時アパートの一室でひそかにボーン・レコードを刻んでいたブートレガーの部屋が再現されています。「当時のソビエトの音楽好きには、これが夢の神殿だったんだよ」と、キュレーターのスティーヴン・コーツが言っていました。僕もずいぶん調べたのでよくわかりますが、この機会にしか見られない、ほんとうに貴重なコレクションが今回は東京に来ています。ぜひ会期中にご覧ください。

BONE MUSIC展
~5月12日(日)
@神宮前BA-TSU ART GALLERY
http://www.bonemusic.jp/

今週は岡崎市美術博物館で開催中のチェコのデザイン展も特集しました。美術館を訪問したのは少し前なのですが、ようやく記事にできてほっとしています。

ミュシャのアール・ヌーヴォー、チェコ特有のキュビズム家具、素朴なあたたかみにあふれたおもちゃなど、さまざまな魅力があって、100年間のデザイン史のうちどこがいちばんしっくりくるか、見るひとによってちがうところもおもしろいと思います。

旧ソヴィエト・ファン、東欧ファンというひとたちがいて、現在のロシアや東欧ではなく、共産主義時代の無骨なデザインが大好きなわけですが、僕も今回の展示のなかで、1970年代の地味なテイストが実はいちばん気になりました。

記事に書いたように、チェコスロバキアは第二次大戦のあと共産主義陣営に加わったものの、ソヴィエトとは異なる路線で徐々に自由化・民主化に移行していき、そこで「プラハの春」と呼ばれる1968年のワルシャワ条約機構軍の侵攻があり、一夜にして厳しい統制社会に戻ってしまったわけです。

そういう暗黒時代に生まれた、たとえば長い配給の列に並ぶ主婦の、冷えきった手が握っていたであろうストリングバッグ。現代のチェコ人にとってはネガディブな時代の象徴であるかもしれない、そういう飾り気ゼロの商品たちに漂う、スッピンの哀愁。

展覧会を見ているうちに、まだそんな空気感が残っているかもしれない、東欧の辺境をすごく旅してみたくなりました。岡崎は名古屋からすぐ。こちらも機会があればぜひご覧ください!

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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